H31.2 学力の向上を図るために

 2月は、新年度の当初予算がまとまる時期です。平成31年度の重点目標の一つに掲げたのが、小中学生の学力向上対策です。

 昨年の全国学力テストの結果では、仙台市を除く、宮城県の平均正答率は、中学校が全国平均を下回り、小学校は最下位となってしまいました。さらに、不登校児童生徒数の増加も深刻化していますので、私としても危機感を抱いているところです。

 このような現状を打破するために必要なことは、教員が余裕を持って子どもたちに向き合い、授業づくりに集中できるような体制を整えることであり、それが行政の責務ではないかと思っています。

 県内でも学力がトップクラスの自治体の教育環境を調べてみたところ、中学校においては35人学級の編成が行われ、さらに、県からの指導主事の派遣や、自治体独自で全校全学年に対して、学力テストを年2回実施しており、子どもたちの弱点をカバーし、学力向上の成果を上げております。

 また、福島県では、平成17年度から公立小中学校の全ての学年で30人学級を導入しており、秋田県でも全ての学年で、少人数指導を実現しています。

 本来、義務教育における国、県、市町村の役割分担としては、指導権限や人事権限を持っている国や県に、教員の確保などの責任があり、一方、市町村は学校施設などの環境整備に主な責任があります。これまで県の教育委員会でも、さまざまな学力向上や不登校対策を行っていますが、まだ目に見える効果が上がっていません。

 町としても、学力向上対策を県にだけ任せてもいられませんので、新たに英語力強化のためのALTを1名増員、図書館司書を3名正職員として採用するとともに、町独自で学力テストを実施し、子どもたちの学ぶ力を引き出していきたいと思っています。

 子どもたちには、様々な潜在能力がありますので、全国学力テストの結果に、一喜一憂すべきではないと思っておりますが、確実に学力を向上させるための対策があるのであれば、行政、学校、そして保護者の皆さまの協力を得て、全国学力テスト最下位からの脱却を図りたいと思います。

                                               柴田町長 滝 口  茂

H30.12 今年一年を振り返って

 あっという間に、今年も年末を迎えることになりました。

 さて、今年一年を振り返った中で印象に残ったのが、子どもたちに関わる論争でした。     

 まず一つ目ですが、経済的な理由で学ぶことが難しい子どもたちを援助するために就学援助制度というしくみがあります。学用品費や学校給食費、修学旅行費などを援助していますが、さらに、卒業アルバムや部活のスポーツ用品までを援助対象に加えるべきだという意見です。気持ちは分かりますが、行政としてどこまで平等にすべきなのか、線引きが難しいことや、援助対象を拡大しても、抜本的な子どもの貧困問題の解決にはつながらないとの意見もあり、今後の検討課題としました。

 二つ目は、学校給食センターの老朽化問題でした。学校給食センターは、建設から38年が経ち、確かに内外装が老朽化してきたことは否めませんが、躯体(建物の構造)はまだしっかりしています。ところが、一部の保護者の方から、「老朽化した施設での給食の調理は不衛生であり、不安でもあるので、早急に新築すべきだ」との意見が出されました。町として、学校給食センターは、新築することにしていますが、何せ建築費に17億円の費用がかかりますので、ある程度の頭金(貯金)が貯まるまで、施設のリフォーム(長寿命化)で対応することにしています。

 三つ目は、今年の酷暑を踏まえた、小中学校の普通教室へのエアコン設置です。「エアコンがない教室で熱中症になったら、誰が責任を負うのか」、「職員室にエアコンがあるのに、教室にないのはおかしい」という意見があります。一方で、「暑さに負けない子どもたちを育てるべきだ」との意見も根強くありました。

 この三つの案件に共通していることは、「誰がその費用を負担するのか」という点です。「子どもたちのことが心配なので、自分たち保護者なども少し負担するから、早く対応してほしい」というのなら分かります。私も、子どもたちのためなら、何でも最優先にしてあげたいのはやまやまです。一方で、町民の皆さんから預かっている税金には限りがあり、すぐに対応することができず、いつも焦燥感に駆られています。

 まずは、この年末年始、子どもたちの教育環境の改善に向けて、なんとか財源を確保する戦略を練り直したいと思っています。

                                                柴田町長 滝 口  茂

H30.11 うたごえ喫茶の今

 全国各地で、うたごえ喫茶が再びブームとなっているようです。アコーディオンを伴奏に、皆でロシア民謡やフォークソングを、体を動かしながら歌っていた当時の光景が蘇ってきます。

 一人、マイクを握って歌うカラオケとは違い、皆で一緒に歌うところに楽しさがあり、また、その雰囲気の中に包まれていると、いつしか連帯感が生まれ、生きる力が湧いてくるところにその魅力がありました。

 うたごえ喫茶は、終戦後の1950年代に生まれました。当時は、朝鮮戦争が起き、60年代には、日米安全保障条約に反対するデモ隊が、国会周辺を埋め尽くした映像が記憶の中に焼きついています。65年頃には、ベトナム戦争反対運動が、そして、60年代後半には、学生運動が激しさを増し、世の中が騒然としていました。そんな中、怒りや不満を国家にぶつける労働運動や学生運動に参加した人たちの、心のオアシスとして受け入れられたのが、うたごえ喫茶でした。

 多くの若者が、「ともしび」や「トロイカ」、「カチューシャ」といった、日本のメロディやリズムとは異なる哀愁が漂うロシア民謡に、心を奪われましたし、また、民族衣装を身にまとい、皆が輪になって、身軽な動きと早いテンポで演技されるコサックダンスなどに、殺伐とした日本とは異なる理想の国のイメージを重ね合わせていたものでした。

 その後、労働運動や学生運動が下火になり、さらに、カラオケがブームになるにつれて、うたごえ喫茶は、一つ、二つと消えていきました。豊かな時代の到来が、うたごえ喫茶自体を求めなくなったのだろうと思います。

 しかし、ここにきて、再びうたごえ喫茶ブームとなっているのは、一人暮らし、二人暮らしの高齢者の皆さんが、足しげく通い始めたからにほかなりません。

 白髪が交じった皆さんが、青春の思い出が詰まった歌を一緒に歌うことで、老いが迫りつつある自分を忘れ、青春時代のように再び、清々しく生きようとしているその姿には、同年代の私も共感を覚えます。

 お金を出せば、ある程度のものは何でも手に入る豊かな社会の中にあって、一人老いていくことへの不安や寂しさが広がる、そんな殺伐とした時代の到来が、再び、うたごえ喫茶を求めているのだろうと思います。

                                               柴田町長 滝 口  茂

H30.10 学校給食センターの現状について

 店頭に、色とりどりの果物や野菜、そして魚が豊富に並ぶ、実りの秋を迎えました。

 学校給食センターでは、こうした食材を使って、秋の味覚が楽しめる給食を提供することにしています。

 さて、その学校給食センターですが、現在、一部に誤解された情報が飛び交い、保護者の皆さんが疑心暗鬼になっていることに苦慮しています。学校給食センターの新築については、平成24年に大河原町、村田町、柴田町の三町で共同して建設する計画を進めた時期がありました。しかし、この計画は、村田町において、自校方式から一挙に三町によるセンター方式へ移行することへの不安、また、柴田町では、地産地消が難しくなる大規模施設への反対もあって、結果として、頓挫した経過があります。それ以降、町では、当面、建物の構造躯体には問題がないので、当面、施設の長寿命化で対応していくことにした次第です。

 確かに、建設後38年が経過し、内外装ともに劣化してきたことは否めませんが、町として、これまで何も手を打ってこなかったわけではありません。

 まず、平成26年から平成29年までの4年間に、約2億円をかけて、調理から食器具の洗浄、消毒、保管までの全ての行程で使う調理機器を最新鋭なものに変えました。常に衛生的な調理器具で調理し、子どもたちに給食を提供しています。

 また、調理に携わる皆さんが働きやすい職場環境となるよう、冷暖房設備を導入しています。さらに、今年の夏休みには、屋上防水改修工事などを実施し、来年度は調理室の床や換気設備の改修を行いますので、工事が終わればこれまでの心配事はほとんど解消されます。

 改めて申し上げますが、建物の構造自体に問題はなく、そのため、老朽化によって給食が提供できなくなり、弁当持参での登校ということはありませんので、ご安心ください。

 学校給食センターの新築には、約17億円もの費用がかかり、今すぐの建設は困難なため、平成26年度から建設の際の頭金となる、「学校給食センター建設等整備基金」を積み立てているところです。

 建設に着手するまでは、事故が起きないよう、適切な老朽化対策を講じながら、子どもたちには、四季折々に旬の味覚が楽しめる、美味しい給食を提供してまいります。

                                                   柴田町長 滝口 茂

H30.9   日本式の庭園づくり

 このたび、宮城県造園建設業協会青年部の皆さまに、青年部設立30周年記念事業として、船岡城址公園の船岡平和観音像周辺に日本式の庭園を造っていただけることになりました。

 青年部の皆さまとのつながりは、二年前、柴田町さくらの会の皆さんと一緒に、ボランティアで「桜の小径(こみち)」に八重紅しだれ桜を植えていただいたときからです。その時の桜は、魅力的な桜並木に成長し、今年の「しばた桜まつり」では、新たな観光スポットとして、多くの観光客に堪能していただきました。

 造園業というと、町民の皆さんには馴染みが薄いかもしれません。彼らはこれまで庭師として、由緒ある庭園や家庭の庭造り、公園や街路の整備に関わり、美しい日本の景観づくりに貢献されてきました。

 しかし、私たちの生活スタイルが洋風化し、また、ガーデニングブームの影響もあって、家庭の庭で、日本式の庭園を見ることは、ほとんどなくなってしまいました。さらに、コストが高くつくといった先入観もあって、行政としてもなかなか公共施設に日本式庭園を造ることが難しくなっていました。

 人口が減少し、高齢化社会を迎え、ここにきて、安全、安心で美しいまちづくりといった観点から、グリーンインフラの整備や日本式の庭園造りへの関心が高まってきました。雑木林と山石や川石、そして石橋や池とを組み合わせ、その中をせせらぎが流れる景観は、まさに、日本独自の造形美であり、日本人の原風景でもあります。ぜひ、後世に引き継ぎたい景観であります。

 これからのまちづくりや市街地の形成においては、緑豊かな広場、公園や庭園、街路樹は欠かせない標準装備であり、その配置計画、いわゆるランドスケープデザインが大変重要になってくると考えております。

 私としては、これまで先人たちが生活の中で築いてきた街の風景を大切にしながら、幾多の名園を残した作庭家の思想や新たな街並づくりの手法であるランドスケープデザインを学びながら、新しい時代に求められる景観づくりに務めてまいりたいと考えております。できたら、日本の四季が感じられる日本式庭園を造ってみたいと思っていましたので、今回、青年部の皆さまがそれを造ってくれることになり、大変喜んでいるところです。

                              柴田町長 滝口 茂

H30.7 新たなキャンプスタイル「グランピング」

 「グランピング」という新しいキャンプスタイルに人気が集まっています。

 グランピングとは、グラマラス(豪華な)とキャンピングをつなげた造語です。これまでのアウトドアとは異なり、手ぶらで大自然の中に溶け込み、ホテル並みの豪華で、快適なサービスを備えたテントに宿泊し、バーベキューや川遊び、農業体験が満喫できるようになっています。

 現在、全国各地で取り組みが始まっており、特に奥多摩地域には、1泊15万円もするところもあります。一流シェフが、地元の食材を使って料理した、その土地ならではの美味しい郷土料理が食べられるということで、大変な評判になっており、人口減少が著しい農山漁村での新たな活性化策として、期待が高まっています。

 驚くなかれ、この流行のグランピングが、昨年6月に槻木の入間田地区に開設されたのを皆さんご存知でしたでしょうか。若い頃、柴田町の会社にお世話になったオーナーが「柴田町のまちおこしのために何かお役に立ちたい」との思いから、身銭を切って始めたものです。

 ここでの特色は、築150年の古民家を自らの手で改修し、宿泊施設として許可を取るとともに、周辺に豪華なテントを配置し、里山での様々な体験とを結びつけるといった新たなキャンプスタイルを売りにしていることです。4月には、NHK「ニュースシブ5時」で、和風スタイルのグランピングとして、全国に紹介されました。

 槻木の五間掘川から北側の集落においては、上川名地区のどぶろく、入間田地区の雨乞の柚子を使った特産品開発や醸造酢の生産、そして、富上、葉坂、成田地区での農産物の直売所といった新たな仕事おこしの芽が育ちつつあります。これらとグランピングによる宿泊施設を組み合わせれば、新たな集落ビジネスが成り立つのではないかと思っています。

 まずは、こうした地域おこしに意欲的に取り組む外部の人材と地元の方々、そして行政とのつながりを強化し、地域に新たな交流と刺激を生み出し、農村部に「仕事づくり」「ことづくり」「モノづくり」の気運をさらに盛り上げたいと思っています。

 百聞は一見にしかず、一度、入間田地区のグランピングに足を運んでみてはどうでしょうか。

                              柴田町長 滝口 茂

H30.6 梅雨に思う

 「五月雨を集めて早し最上川」

 奥の細道を旅した松尾芭蕉が梅雨の季節を詠んだ名句です。

 山形県を流れる最上川は、日本三大急流の一つで、白石川とは比べられないほど水量の多い大河です。最上峡芭蕉ラインの船下りに身を委ね、川風に吹かれながら、芭蕉の時代に想いを馳せるのも悪くはありません。

 しかし、こうした緑豊かな山あいを流れ、旅情を掻き立てる大河も、長雨が続くと様相は一転してしまいます。旅の風情を感じるなどと言ってはいられなくなり、自然の脅威に恐れおののくことになります。

 私にとって、梅雨入りから梅雨明けまでの1ヶ月間は、梅雨前線とのにらめっこの日々が続きます。なぜなら、柴田町は阿武隈川と白石川との合流地点に位置するため、他の自治体に比べて、水害に見舞われるリスクが高いからです。

 水害が想定されるケースは二通りあります。一つは、仙南圏域に相当量の雨が降り、阿武隈川や白石川が破堤し、氾濫する場合です。しかし、このケースは、七ヶ宿ダムの整備や阿武隈川堤防の改修工事が進められていることから、あまり心配はしていません。

 一番私の頭を悩ますのが、内水による冠水被害です。阿武隈川は福島県に降った雨水を集めて流れてきますので、宮城県の天気予報を注視していただけでは対応ができません。仙南圏域の雨量が少なくても、福島県の雨の降り方によっては、阿武隈川の水位が高まり、白石川の流れを悪くします。そうすると、下名生の三名生堀排水路や五間掘排水路、槻木地区の市街地を流れる名取用水の水がはけなくなってしまいます。このように、水位のタイムラグによって、冠水被害を発生させるのが柴田町特有の水害のメカニズムなのです。

 町民の皆さんから、他の自治体に比べて「避難準備・高齢者等避難開始の発令が遅い」、「避難指示などの解除の連絡が遅い」とお叱りを受けますが、こうした水害が発生するメカニズムを十分に認識していただければと思っています。

 梅雨のシーズンを迎えた今年は、雨に打たれた色鮮やかな紫陽花に風情を感じながら過ごせるのか、それとも、うっとうしい長雨に脅威を覚えながら過ごすことになるのか、今から気を揉んでいます。

                             柴田町長 滝口 茂

H30.5 柴田町総合計画について

 平成31年度を初年度とする柴田町総合計画の策定作業が始まっています。

 人口減少によって、896の自治体が消滅しかねない現実を前に、柴田町が今後どのようにして持続的な発展を図っていくべきなのか、皆さんとともに考え、皆さんとともに総合計画を作り上げていきたいと思います。

 まず、総合計画を策定する際には、自治体の置かれている状況や、地域社会が抱える課題について、しっかりと認識を共有することから始める必要があります。

 社会の潮流を鳥の目で見ますと、地方においては、人口が減ってきた分、消費力が減り、その影響で雇用が失われ、地域経済の衰退に拍車がかかっています。こうした悪循環を断ち切り、人口が減少しても、消費力が減らない政策を総合計画では準備する必要があります。

 また、虫の目で見た地域の課題は、地域のコミュニティー力が落ちてきていることです。「町内会役員になり手がいない」「空き家が増えている」「高齢者が増えて、なかなか町内の行事を継続することもままならない」などといった課題を解決するための処方箋もしっかりと示していかなければなりません。

まさに今回の計画策定では、地方自治体を取り巻く環境がますます厳しさを増す中で、柴田町の未来像を描いていくことになります。

 柴田町まちづくりアンケート調査によれば、8年後の柴田町のイメージとしては、「災害に強く、犯罪のない安全・安心なまち」が第一位で、次に「人に優しい保健・医療・福祉が充実したまち」「交通や買い物などの生活の利便性を重視したコンパクトなまち」が続きました。

 また、これから必要な公共施設としては、圧倒的に「高齢者の拠点施設」で、順に「道の駅」「総合体育館」「図書館」となりました。道の駅が第二位となったのは意外でした。

 アンケート調査で示された住民の想いや要望が絵に描いた餅にならないよう、財政計画と連動した、実効性のある計画として策定していくのが、私の責務であろうと思っています。

 「花のまち柴田」をテーマに、持続可能なまちづくりを進めながら、真の豊かさを実感できる未来都市、元気あふれるリバブルシティの実現を目指して参りたいと思います。

※リバブルシティ・・・住みやすい・快適な町

                              柴田町長 滝口 茂