昔から「知育・徳育・体育」が教育の基本といわれてきましたが、今それらに加えて注目されているのが「食育」です。食育とは、ひとことで言えば食に関する教育ですが、単に望ましい食習慣のための知識を身につけるだけでなく、食卓の一家団らんを通じて社会性を育んだり、食文化を理解したりすることも含む幅広い教育です。一方、近年における国民の食生活をめぐる環境の変化に伴い、社会が一体となって食育を推進しようと「食育基本法」の制定が進められています。
私たちの町でも今年度に「食育」関連の事業が3つ行われます。 みやぎ食育の里づくり事業(県事業)…県内のモデル町として、食を通して、人と人、地域との関係や、環境、生き方などを子どもたちと一緒になって考えます。実行委員会が組織され、東船岡小学校学区と柴田小学校学区を中心に、「味噌」と「行事・伝統食」をテーマに事業が展開されます。 しばた食の祭典…町内で生産された食材を使った料理、昔ながらの行事・伝統料理の再現など、17年2月に実施されます。 食育実践地域活動…農林水産省の補助事業で3つの公民館で地元食材を利用した親子料理教室が行われます。
子どもたちに食文化の大切さや、食習慣のための知識を教えることも重要なことですが、私たち大人が食文化を破壊してきたことへの反省も必要です。子どもたちへの食育は、言葉ではなく、体験と毎日連続する経験を通じて伝えるものであり、食を五感で味わい、自らの身体に蓄積していくものといえるかもしれません。
旬産旬消。私たちが子どものころは、実る時にしか食べられませんでした。家の周辺や里山にある季節の食が待ち遠しく、大人に追い立てられたりしながらも、自然の恵みを楽しみました。5月から7月は、子どもたちが味噌と塩をポケットにしのばせて持ち歩きました。ヒョロンコ(野蒜)スカンポ(酸模:スイバ・イタドリの別称)桑籠(桑の実)、サクランボ、梅、バライチゴ、キイチゴ、房スグリ、ユッサ(ユスラウメの別称)、バタンキョウ(巴旦杏・スモモ)、ビワ…昔と変わらず身近にあるのですが、大人にも子どもにも見向きもされなくなった食べ物を撮って歩きました。懐かしいと想う中年男性の感傷に終らせず、食育につなげないかな?
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