○しばた食と農のまちづくり条例

平成25年2月25日

条例第3号

本町の農業は、四季の変化に富んだ自然環境や県内でも比較的温暖な気象条件、肥沃な農地に恵まれ、都市近郊の優位性などの地域特性を活かし、いち早く農業構造改善事業等に取り組み、水稲を基幹作物として野菜、施設園芸、花き、畜産を柱とした複合経営を中心として発展してきました。

近年、農業を取り巻く環境は厳しく、農産物価格の低迷や生産資材の高騰が続く中で、農業後継者の減少と農業就業者の高齢化による担い手不足や、過疎化、高齢化、非農家との混住化が進み集落機能が低下し、農地の荒廃が危惧されています。農産物の輸入増加や食料消費構造の変化をはじめ、地球的環境問題への関心の高まりなど、農業・農村を取り巻く状況は大きく変化しています。

私たちは、食と農の重要性と農業が持つ環境保全や国土保全、地球温暖化の抑制といった多面的役割を理解し、それぞれが役割をもって、これらの機能を守り、先人が築いた文化遺産や伝統とともに、後世に伝えていく義務と責務があります。

こうした視点に立ち、本町の農業を維持、発展させていくためには、生産者と消費者とが農業に対する認識を共有し、地域の特性を活かした農業の振興を推進していくことが重要になってきています。

本町の農業・農村が持つ機能的役割の重要性や農村文化を次世代に引き継ぐとともに、地域資源を活用しながら地産地消を推進し、魅力ある農業が息づく農商工が連携した食と農のまちづくりを目指すための指針として、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、柴田町の自然条件と地理的特性を最大限に活かした農業・農村を創造するため、町、農業者及び農業に関する団体(以下「農業団体」という。)の責務並びに町民、事業者等の役割を明らかにし、活力ある農業・農村の実現を図ることを目的とする。

(農業・農村振興の目標)

第2条 町は、次に掲げる目標のもと農業・農村の振興を図るものとする。

(1) 消費者の視点に立った安全・安心な食料の生産が振興されるとともに、食の重要性について町民の理解が深められること。

(2) 活力ある農業者を育成しつつ、優良な農業環境の整備を図ること等により、将来にわたり持続的発展可能な農業が営まれること。

(3) 地域資源等を活用した都市住民との交流を拡大するとともに、水源の涵養、潤いと安らぎを醸し出す景観の形成、自然環境の保全、文化の継承等の農業・農村の有する多面的な機能が将来にわたって十分に発揮されること。

(町の責務)

第3条 町は、前条に掲げる目標を達成するための施策を総合的に策定し、実施しなければならない。

2 町は、前項の施策を講ずるに当たっては、国、県及び農業団体と適切な連携を図らなければならない。

(農業者及び農業団体の役割)

第4条 農業者及び農業団体は、この条例の趣旨を理解し、農業・農村の振興に向け、自ら主体的に努力するものとする。

(町民、事業者等の役割)

第5条 町民、食品関連事業者等は、本町農畜産物の消費及び利用を進めること等により、農業・農村の振興への協力に努めるものとする。

(農業・農村振興に関する主要な方策)

第6条 町は、第2条に掲げた目標の達成に向け、次に掲げる方策の実施に努めるものとする。

(1) 消費者が安心して地域農畜産物を入手し、食と農への信頼を保つのに必要な産地情報の提供

(2) 学校、家庭、社会教育機関及び地域社会等と連携して行う地域農畜産物の生産流通事情の理解促進、健康的な食生活の推進及び食文化の継承

(3) グリーン・ツーリズムによる都市住民との交流及び農業体験による農業・農村の理解促進

(4) 地域農畜産物の学校給食への提供

(5) 農業生産基盤の整備及び優良農地の確保

(6) 農業の担い手の育成及び確保

(7) 収益性の向上及び経営の安定を確保できる農業の仕組みづくり

(8) 6次産業化及び他産業との連携による付加価値の高い農業の展開

(9) 農業者及び農業団体、食品産業の事業者並びに消費者の連携強化による地域農畜産物の地域内流通及び消費の促進

(10) 化学肥料・化学合成農薬の適正使用と堆肥等による土づくりを一体的に行う持続性の高い農業生産方式の導入

(11) 農業・農村の持つ多面的機能を十分に発揮させるための環境整備

(基本計画の策定)

第7条 町長は、前条各号に掲げる方策を効果的に実施するため、農業・農村の振興に関するおおむね8年を期間とする基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。

(基本計画の内容)

第8条 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 農業・農村振興に関する主要な目標

(2) 前号の目標の達成に向けた主要な方策及び施策

(3) 前2号に掲げるもののほか、農業・農村振興のために必要な事項

(意見聴取)

第9条 町長は、基本計画を定めるときは、柴田町農政審議会条例(昭和37年柴田町条例第150号)第1条に規定する柴田町農政審議会の意見を聴かなければならない。

(基本計画の公表)

第10条 町長は、基本計画を定めた場合、速やかに公表しなければならない。

(基本計画の実施の評価)

第11条 町長は、2年ごとに柴田町農政審議会において基本計画及び施策の実施状況について評価を受けなければならない。

2 前項の評価に基づき、基本計画を変更する場合においては、前2条の規定を準用する。

この条例は、平成25年4月1日から施行する。

しばた食と農のまちづくり条例

平成25年2月25日 条例第3号

(平成25年4月1日施行)