R6.3 年々早まる桜の開花

 一年で一番早く春爛漫のお花見ができるのが、伊豆の河津桜まつりです。早咲きの河津桜は2月下旬には非常に濃いピンク色の花を咲かせます。3月中旬になると、今度はソメイヨシノの桜前線が九州や四国南部から北上し始め、例年ですと4月に入った頃に宮城県に到達しました。しかし近年では3月末に開花することも珍しくなくなってきています。
 柴田町では、船岡城址公園にあるソメイヨシノの標準木が五輪の花をつけた時に開花宣言を行っています。標準木が4月上旬に開花すると約1週間後、白鳥神社の春の例大祭の頃に柴田の桜が満開を迎えるというのが、これまでの言い伝えでした。
柴田町の桜が新入学生や新社会人の晴れがましい姿を応援するかのように咲くからこそ、町民の皆さんの桜へ対する思い入れが強いのだと思います。
 今でも、船岡小学校の古い木造校舎を背に、満開の桜が咲く校門前で真新しいランドセルを背負った小学一年生が「ピカピカの一年生♪」のメロディが流れる中でほほえましく映っていたテレビコマーシャルを懐かしく思い出します。
 桜の開花状況は「咲き始め」、「五分咲き」、「満開」、「散り始め」そして「葉桜」の順に発表されます。マスコミのアナウンス効果はとても大きく、開花から満開に至るまでは、お花見の人出は徐々に増えていきます。一方で、散り始めや葉桜と報道された途端、遅咲きの里桜や山桜が見頃を迎えていたとしても、花見客はほとんど見かけなくなってしまいます。葉桜になってもお花見に来てくれるのは、旅行日程が決まっている国内外の観光客がほとんどです。
 そこで、少しでも長い期間、花見客に柴田町へ足を運んでもらえるよう、今後はソメイヨシノが散った後に咲く三色花モモをPRし、桜まつりを終えてもなお美しい花々で彩られる柴田町の花景色を楽しんでもらいたいと考えています。福島県の花見山や飯坂温泉の花ももの里にはまだまだ及びませんが、それでも早春の丘の花モモ畑から眼下に望む白石川や太平洋の眺望は大変素晴らしく、多くの花見客の皆さんに満足していただけるものと思っています。
 3月に入り、いよいよ各地から桜便りが届きます。柴田町の桜の開花がいつ頃になるのか、開花予報とにらめっこしながらの毎日が続きます。
 
柴田町長 滝口 茂   

R6.2 佳境に入った新年度の予算編成

 2月に入り、令和6年度の予算編成が佳境を迎え、頭を悩ませる日々となっています。
 予算編成にあたっては、人口減少に伴う地域課題への対応策や柴田町の持続的な発展を見据えた戦略を踏まえ、基本方針を示して各課からの要求を受け、優先順位をつけて予算化していきます。いくら良い政策を打ち出しても、財源の裏付けがなければ絵に描いた餅ですので、まさに政策は予算に集約されると言えます。
 例年頭を悩ませるのは、企業や町民の皆様から預かる税収と、行政サービスを提供するために各課から要求される予算額との間に大きな乖離が生じることです。今年も、その差額が大変大きいものとなりました。
 この乖離を埋めるためには、歳入を増やさなければならないのですが、そのために柴田町が独自に町税の税率を上げたり、新たな税金を町民の皆様に負担していただくことは現実的には困難です。収入を増やす手立てとして、観光戦略を展開し、ふるさと納税を全国から集めたり、ネーミングライツや広告収入を増やす努力をしています。
 一方、歳出面においては、子育てや障がい者支援、医療、介護、健康づくり、さらに公共施設や学校の老朽化対策、また、日頃寄せられる要望への対応など、経常的な支出は増えています。加えて、総合体育館や図書館建設などの大型プロジェクトの財源も確保しなければなりません。
 国のように、税収が不足すれば赤字国債を発行して財源を調達できれば良いのですが、地方自治体はそれができませんので「入るを量りて出ずるを制す」を基本とした予算編成となります。そのため、この乖離を埋めるには、住民サービスや公共事業の先送りなどで調整する必要があります。
 人口減少と高齢化により、地方の財政は悪化する一方ですので、抜本的に国と地方との財源配分を見直す必要があると思っています。国が打ち出す異次元の子育て対策や社会保障政策の大半を担っているのが地方自治体です。今後、地方自治体の安定的な財政運営が困難になれば、国全体の社会保障制度が立ちいかなくなってしまうのです。
 国がさらなる地方自治体の財政の実情に目を配り、社会保障に係る財源を増やしてもらえば、予算編成時の悩みも少しは軽減されると思っています。
 
柴田町長 滝口 茂   

R5.12 デジタル社会の幕明け

 今年を振り返れば、世の中の動きは明と暗が混在した一年だったと思います。
 ロシアによるウクライナ侵攻に終息の兆しは見えず、それどころかここにきて、イスラエルとパレスチナ(ハマス)との紛争が激化し、世界に混乱が広がっています。多くの子どもたちが犠牲になっている報道を目にするたびに心が痛み、子どもたちを救えない無力さを感じてしまいます。
 我が国においては、物価高、資材の高騰、さらに人手不足も相まって、暮らしや事業経営が厳しい状況になっています。
 地方では、人口減少による病院や公共交通の経営悪化、消防団員や民生委員・児童委員のなり手不足など、地域の根幹を支える安全安心ネットが崩れようとしています。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の位置づけが2類から5類となり世の中に活気が戻り始め、デジタル技術の進化と普及でスマホ決済やセルフレジの導入、ロボットによる自動配膳や自動運転自動車の実用化など、鉄腕アトムで描かれた未来社会を体験できる時代を迎えました。
 まさに光と影が混沌とした年でしたが、町では、富沢16号線や鷺沼5号調整池の完成が目前となり、新たに総合体育館の建設や新図書館を核とした交流ゾーンの整備による市街地の賑わい創出事業に着手することができました。総じて言えば、うさぎ年にふさわしい様々なチャレンジができた年だったのではないかと思っています。
 今後、着実に整備が進む社会インフラを活用し、少子高齢化や人口減少による悪循環を克服しながら、明るい未来への道筋をつけていくことが、私に課せられた新たな使命だと認識しています。
 デジタル社会の到来で、これまでと全く異なる新時代が幕を開けようとしています。一日も早く愚かで悲惨な戦争や紛争を終わらせ、人間の英知を持続的な発展が可能な社会の実現に向けて結集すべきではないかと思います。
 町もデジタル社会に乗り遅れることのないよう、DX推進計画に基づき多くの人と様々な知識や最新の情報を共有し、活用することで、地域の課題や困難を乗り越え、より便利で活力に満ちたまちづくりを目指していきたいと思っています。
 
柴田町長 滝口 茂   

R5.11 女性に選ばれるまち

 地方では、農業の衰退や、誘致した企業の撤退によって就業機会が減っています。そのため、若者の都会への流出が続き、人口減少に拍車がかかっています。国は、打開策として地方創生の旗を振ってきましたが、その政策効果は限定的なもので、東京への一極集中に歯止めがかかっていません。
 今、国では子育て世帯への経済的支援や保育サービスの充実、そして働き方改革を柱とする、いわゆる異次元の少子化対策に本腰を入れ始めたところです。今後の具体的な政策展開に期待するところですが、一方で、地方の人口減少対策としては勘所(かんどころ)を外しているように思えます。
 地方での人口減少の大きな要因の一つは、若い女性が都会に出て行ってしまい、地方に残らないということです。
 女性が惹きつけられるまちの魅力は色々あると思いますが、共通している点は、一つに、交通の便が良く、様々な消費機会にアクセスしやすいこと、二つに、災害や犯罪が少なく、おしゃれで居心地が良いこと、三つに、自分のキャリアアップを応援してくれる雰囲気があり体制が整備されていることが挙げられています。
 柴田町は東北一の大都市である仙台市へのアクセスが良く、また「花のまち柴田」をテーマに、美しく元気で賑わいのあるまちづくりを進めてきたことで、女性に選ばれるまちとしてのポテンシャルは高いと思います。今後、こうしたポテンシャルを開花させるためにも、さらに女性が仕事を通じて活躍できる舞台をつくっていく必要があると考えています。
 今回、図書館を核とした賑わいづくりプロジェクトでは、チャレンジショップのスペースを用意し、若者に人気のあるおしゃれなカフェやベーカリー、アクセサリー店などを経営してみたいと思うアントレプレナー(起業家)を、開業準備からサポートしたいと考えています。
 自らの意欲と能力を生かし、新たなビジネスにチャレンジする多くの女性を育て、彼女たちが活き活きと活躍することで、まちなかが活性化し、ひいては人口減少に歯止めをかけることにつながっていくのではないかと思っています。
 
柴田町長 滝口 茂   

R5.10 ローカル路線のあり方

 10月14日は鉄道の日です。
 明治5年10月14日に新橋~横浜間に日本で初めて鉄道が開通したことを記念して、平成六年に運輸省(現・国土交通省)により制定されたものです。今年は制定されて30周年を迎え、全国各地で鉄道フェスティバルや関連するイベントが開かれます。
 私も鉄道が大好きで、若い頃はこれまでに乗った路線図を赤エンピツで塗りつぶすのが楽しみでした。いつの日か全線を踏破したいという夢を抱いていたのですが、昭和40年代になるとローカル路線はモータリゼーションの波に飲み込まれ、次々と廃線になっていきました。今ではDVDを見ながら、今では見ることができなくなってしまった車窓からの風景を楽しんでいます。
 しばらくは落ち着いていたローカル線問題でしたが、ここに来て再び路線の存続・廃止に関わる問題がクローズアップされています。そのきっかけとなったのが、昨年JR東日本が1km当たりの利用者数が一日平均で2千人未満の赤字ローカル線の経営状況を公表したことです。宮城県ではJR陸羽東線をはじめ4つの路線が対象となりました。今後鉄道の存続に向けて地域を挙げて利用客の増加に取り組むことになりました。
 阿武隈急行線も厳しい経営状況にあり、現在、今後の阿武隈急行線のあり方について関係者で議論を行っています。「ローカル線は地域のシンボルであり、通勤通学の足として、また観光振興上も存続させるべき」との意見がある一方で、「そもそも利用する人が少ないのだから廃線の憂き目に遭うのではないか」という意見の相違がある中、どのように結論を導いていくのかが課題となっています。
 そもそも鉄道は我が国の国力を上げるために国が全国津々浦々に敷設しました。ところが、時代の流れの中で国鉄が巨額の赤字を抱えると、国は一方的に赤字路線の廃止や第三セクターへの経営移譲を進めました。
 人口が減り、国力が弱まっている今こそ、地方での暮らしを維持するナショナルミニマムとして、国がローカル線の存続に向けて責任を果たすべきだと思っています。
 
柴田町長 滝口 茂   

R5.9 ゴミ屋敷問題

 都会での話と思っていた、いわゆる「ゴミ屋敷」の問題が、最近は地方でも問題視されるようになってきました。家の中は足の踏み場もないくらいゴミが散乱し、挙げ句の果てには家の周りや道路までゴミがはみ出し、雑草や樹木が繁茂して、周囲の住民から悪臭や害虫の発生、見通しの悪さなどの苦情が寄せられています。
 何故ゴミ屋敷となるのか。その要因としては、例えば一人暮らしの方が年を重ね足腰が弱くなったり、病気にかかったりして、ゴミを集積所まで運べなくなること、また、認知機能の衰えから細かな分別ができなくなることなどが挙げられています。
 ゴミを何とかして片づけたいと考えている方への支援としては、有償ボランティアによりゴミ出しが困難な家庭のゴミを集積所まで運ぶ体制を構築することや、家庭ごとにゴミ収集する仕組みを導入していくことが考えられます。その仕組みを検討する際には、人員や財源の確保が問題となります。
 難しいのはゴミを財産として考える方への対応です。身近な人との別れを経験し、その淋しさから思い出の品が捨てられない。また、人間関係がうまくいかず地域社会から孤立しその反動から物を集めてしまう方がいます。このような方には、地域での見守りやその人が抱える問題を、ご本人の悩みや気持ちに寄り添いながら、一つ一つ解決するきめ細やかな対応が必要ではないかと考えています。
 今、ゴミ屋敷問題に頭を痛めている地方自治体では、周囲に危害が及んでいる場合に行政が強制的にゴミを片づけ、かかった費用を所有者に請求するゴミ屋敷条例を制定する動きがあります。ゴミ屋敷条例の研究は必要だとは思いますが、柴田町においては、まだゴミ屋敷問題が深刻化している状況ではありませんので、当面はゴミ屋敷を生み出しやすい高齢者を地域で孤立させないよう見守りを強化していく考えです。
 助けられたり、助けたりの精神により、地域での暮らしが支えられることへ皆さんの理解を深めていき、また、心身も社会的にも健康で幸福な状態が継続するウエルビーイングなまちづくりを進めていくことが、遠回りでもゴミ屋敷問題への有効な対策ではないかと思っています。
 
柴田町長 滝口 茂   

R5.8 少年時代の夏休み

 お盆が近づくと、東京のいとこと田舎で過ごした幼い頃の夏休みの思い出が目に浮かんできます。
 昭和の田舎は暮らしと農業が一体化していましたので、遊びに行くと祖父から家の側を流れる小川で冷やしたキュウリやスイカを食べさせてもらったり、桃畑に連れていってもらったりしたものでした。お盆の夜には先祖の霊を迎えるために迎え火が焚かれ、そのメラメラと燃える幻想的な稲ワラの炎に、心が吸い寄せられました。
 これが私たちの年代が少年時代に体験した夏休みの原風景です。
 あれから50年の歳月が流れ、小川はコンクリート側溝となり、桃畑には工場が建ち、その風景は一変しました。集落そのものが無くなってしまう地域さえ散見されるようになってきました。
 こうした田舎を立て直すために提唱されたのが、機械化やデジタル化による効率的な農業の推進や、農業経営の大規模化です。
 柴田町においても現在、中名生、下名生地区を皮切りに葉坂、入間田、富沢、上川名、船迫、小成田地区でほ場整備に着手し、担い手農家に農地の集約化を勧めています。法人化による地域農業の活性化に期待しているところですが、一方で懸念材料もあります。
 高齢化と過疎化により、これまで共同で行ってきた農地や水路などの維持管理が難しくなります。共同作業によって培われてきた、人と人との結びつきや集落への帰属意識が薄まり、さらに祭りや地域行事も継承されなくなってしまうことを心配しています。農業盛えて農村が滅びては何にもなりません。
 このように集落の空洞化や、田舎らしさの喪失が懸念される昨今ですが、それでもお盆には帰省ラッシュが起こる訳ですので、田舎にはまだまだ人を引きつける魅力が残っています。田舎で久しぶりに家族や親せきや幼なじみが集い、先祖の霊を迎えた中で盆踊りや花火を楽しんだ夏休みは、子どもたちにとって海外旅行やキャンプなどでは味わえない思い出となり、深く心に刻まれることと思います。
 晩年になって多事多難だった人生を振り返る時、誰しもが少年時代の夏休みや田舎のぬくもりを懐かしみ、胸を熱くするものなのです。
 
柴田町長 滝口 茂   

R5.7 地方政治に対する私見

 年々、生活に最も身近な地方政治への関心が薄れてきているように感じています。
 これまでも国政・地方問わず選挙の投票率低下が問題視されてきましたが、ここにきて、市町村議員へのなり手不足が深刻化し、定数割れとなる議会が増えています。我が地域から議員を出そうと、激しい選挙戦が繰り広げられていた昭和の頃とは、まさに隔世の感があります。
 私が地方公務員だった頃の政治には今以上にダイナミズムがありました。当時は国土の均衡ある発展を国是として、地方にも経済的繁栄を波及させるために、高速道路、新幹線、空港、工業団地の造成といったインフラ整備に大きな予算が措置されました。各地方自治体は開発の波に乗り遅れまいと、首長・議員・各団体が一丸となって予算の分捕り合戦を展開したものでした。当時、県庁で政府予算対策に係わっていた私も、各省庁や国会議員会館、政党本部に陳情を繰り返していたものです。たとえ我田引水と言われようと、政治の力で少しでも早く自分たちの地域を豊かにしようとする熱気が、そうした陳情活動の源泉となっていました。
 しかし、少しずつ経済的に豊かになるにつれて、時代とともに個人の価値観は多様化し、政治よりもスポーツ文化、ボランティアやNPO活動などへ関心が移るようになりました。
 一方で、地方においては人口減少によって年々活力を失い、地方消滅という危機が迫ろうとしている中で、現状を打開する有効な手立てが打ち出せない、これまでの我田引水型の政治に対する不満や諦めが政治離れを加速させています。
 こうした流れに歯止めをかけ、地方政治への関心を取り戻すには、住民や地域の声がよりストレートに政治に反映されるしくみを作ることが必要です。そして、地方自治体が一つの政府として十分な権限と財源を持ち、首長・議員・住民が協働して社会づくりができる、共創型の政治体制への転換を急ぐ必要があると考えています。中央集権から地域主権へ、我田引水型の政治から共創型の政治への転換により、地域の課題は地域で解決できるようになると思います。
 これが50年あまり地方行政に携わった経験を踏まえた上での私の地方政治に対する見解です。
 

柴田町長 滝口 茂   

R5.6 図書館を核とした賑わい拠点づくり

 本格的な図書館を整備したいと思い立ち、早くも20年の歳月が過ぎてしまいました。何故こんなに長くなってしまったのか。その理由は一重に図書館建設費に係る財源確保の見通しが立たなかったことにあります。平成18年頃の柴田町の財政は火の車でしたので、三町合併を検討し、財政の立て直しを図ろうとしましたが、それは実現しませんでした。その後、自立戦略に舵を切り徐々に財政の立て直しを進めてきましたが、平成23年に東日本大震災、平成27年と令和元年には台風による水害と、災害対応が続く中で図書館建設を進められる状況ではありませんでした。
 時代の流れは急速で、スマートフォンから手軽に情報を入手できる時代になり、図書館よりも、東日本大震災後に町民体育館が取り壊わされたので「総合体育館を建設すべきだ」という声や、「建物の劣化が進み修繕を繰り返している新学校給食センターの建替を優先すべきだ」との声が大きくなりました。
 図書館は本を借りたり、勉強する場所というイメージをお持ちの方も多いと思います。しかし、現在の図書館の機能は従前と大きく様変わりし、子どもたちの学びのサポートや子どもからお年寄りまでの憩の空間、さらに住民だけにとどまらず、国内外からの来訪者まで含めた人々の交流の場として、都市の賑わいづくりには欠かせないものとなっています。
 今回、まちなかの賑わいづくりの一環として国土交通省へ都市再生計画を提出したところ、図書館の建設、しばたの郷土館のリニューアル、そして船岡城址公園の麓に交流と憩いの場となる広場「(仮称)みんなの広場)」の整備が認められました。総事業費約22億円のうち1/2を国からの補助金で実施できることになり、図書館建設のための財源の目途がやっと立った次第です。
 この一体的な拠点づくりは、今年度基本設計を行い、令和7年度に建設工事に着手し、令和9年度末までに完成する予定です。人と人とが出会い、交流し、そして新しい生活文化が創造できる図書館を核とした賑わい拠点づくりを行い、柴田町の新たなシンボルゾーンにしていきます。
 

柴田町長 滝口 茂   

R5.5 こどもの日に寄せて

 4月、新たに子ども家庭庁がスタートしました。これまで各省庁がバラバラに行ってきた子ども政策を一元化し、司令塔としての役割を担うものです。この背景には、令和4年の出生数が80万人を割り込むなど、急激に進む少子化ヘの危機感があります。
 国は今回、児童手当の拡充等の給付を柱とした異次元の子育て支援策を打ち出しました。子育て世帯への経済的な支援は保護者にとってはありがたいことですが、現場で子育て支援に関わっている側からすれば、この政策だけで長年かけて積み重ねられてきた少子化に歯止めがかかるのか、懸念が残ります。
少子化の第一の要因は、若者が結婚しなくなったことにあります。結婚しない理由としては、出会いの機会がないことや、今のままの収入では家族を養えないというものです。
 第二に、結婚したとしても、保育施設への入所が担保されていなければ、安心して子どもを産む気になれないという声もあがります。
さらには、「子どもの声がうるさい」とか、「混んでいる電車にベビーカーで乗るな」とか、子育てに対する社会の包容力がなくなってきたことも大きな問題です。
 昔の仲人に代わり最近では、マッチングアプリによる出会いが結婚に結び付くケースが多くなってきました。私としては、まず、宮城県が開設したAIを使ったマッチングサービス、みやぎ結婚支援センター「みやマリ!」の周知を図っていきたいと考えています。
 さらに、待機児童の解消を図るためには、幼保の一元化や保育所の民営化を図り、快適な保育施設で子どもたちを育てられるようにしていく必要があると思っています。
 そのために国には、経済的支援だけでなく、保護者の就労状況に関係なく希望すれば保育施設に入れるなど保育サービスの充実、学校給食費の無償化、給付型の奨学金制度の拡充などを期待するものです。また、子どもは社会みんなで育てるという雰囲気づくりも大切です。
 5月5日はこどもの日。出産や子育てを望んでいる人たちが安心して生活できる環境づくりに力を入れ、みんなで子どもの成長を支えられるようなまちにしていきたいと思っています。
 
柴田町長 滝口 茂